Sat
05/24
2008
お題49「桜が燃えるその下で待っています。」

リンクさせて頂いている写真ブロク様以外にもほぼブログ立ち上げ当初から、足繁く通わせて頂いている心酔写真ブログ様が♪♪♪♪
その中のお一人「カメラと手紙と雨音」のphotoletterrainさんから今回は許可を頂いて ショートストーリーを・・(plrさん、せっかく許可頂いたのに駄文で申し訳なくですっ(´▽`;
写真一枚で物語を織りなせる本当に素敵な写真家様^^写真を拝見する度に物語が溢れ出てくるようです♪ 参考にさせて頂いた写真は ベンチのある風景シリーズの「桜が燃えるその下で待っています。」と構想的には「何かを選ぶということは、何かを捨てるということ」の2作品です^^
(今回はphotoletterrainさんのブログへ逃げるという事でっ♪)
photoletterrainさんのブログへはこちらからいけまする^^
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「カメラと手紙と雨音」様
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拍手、ありがとうございました♪
明日少し時間を見計らって撮りに行ってきます((´∀`*)/
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それでは・・ちょっと死にネタ・とってもシリアス・・ですが隠さずにいきたいと♪
もしよかったらっ((´∀`*)/
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静寂な夜に一匹の真っ白な猫が道を横切り、その首に付けられた小さな鈴の音と呼応する様に風が巻き起こる。桜の花弁達がさーっと宙へと舞い上がっていったんだ。
まるで燃え尽きた桜の魂をそっと掌に優しく包み込むように一片、又ひとひら、紅葉が天から舞い降りてきたかの様に・・・
― 桜が燃えるその下で待っています ―
― 余命は不明・・ただ、長く続く発作が起きればやがて僕は逝く事になるだろう。どんな薬も、もはや効かないのだから・・
人の一生なんて本当に短いものだ。やりたい事は山程あるのに毎日の様にやってくる分かれ路で迷いながらもそれを切り捨ていく、それの繰り返し。
必死で自分が逃げちゃいけないものから目を逸らさない様にと歯を食いしばりながら、本当は何か酷く大切なものを忘れて来たんじゃないかって気になっている。
それでも毎日が刺激的でそれなりに楽しかった様な・・・結局、生きるって事がよく分かっていなかったあの頃・・あの日、あの宣告と君に出逢う前は・・
死を意識して生まれて初めて僕は生を感じたのかもしれない、そして愛の意味も少しだけ分かりかけた気がしたんだ・・
病院を出ようとすると院内放送で僕の名が流れた。
「弥生 桜也(やよい おうや)さん、受付カウンターまでお越しください。」
元々、体が弱いはエチルアルコールの匂いが漂うこの病院にいると何故か心が落ち着き、まどろみたくなる。
受付の女性がにっこりと微笑み、その綺麗な白い手で古びた小さな名刺ホルダーを手渡した。
「・・あ。」
「落ちていた、と先程女性の方が届けてくれました。」
「どうも。」
僕は軽くお辞儀をしてホルダーを受け取り、その場を去ろうとすると後方から呼び止める声がする。
「弥生さん?!手袋、忘れてますよ!!」
受付カウンターの後方で忍び笑いが聞こえる中、笑いを堪える彼女ににやりと笑いかけ今度こそ、くるりと背を向け足早にその場を去った。
― いつものパターンだ・・
名刺ホルダーの中身は保険証と数々の診察カードを入れている。中身を確認すると最後のページに1枚の見慣れないメモ書きが・・入っている。
病気に負けるな! 頑張れ!
大きな力強い字で綴られたメモ書きの裏には、殆ど見えない位の小さな字で`神無月 紅葉'(かんなづき もみじ)という名とアドレスが記されていた。
なんだか柄にもなくじーんときている自分がいたりして、人通りの多い歩道橋のど真ん中を一人立ち止まり、俯きながら唇を噛みしめる。
どちらかというと、普段は警戒心の強い僕はその筆圧の弱い自信無さ気に記された名前とアドレスに親しみを覚えていつもだったら投げ捨てるはずのその小さなメモ書きを大切に財布の中にしまった。
思い切ってメールしてみたのはそれから3日後、そして1週間後には電話をかけていた。しかし当時は僕も紅葉もお互いに付き合っている相手がいた。
僕の方は同棲中の彼女・ハヅキとはこの病気やら、もともとの性質の違いからすれ違う事が多くなり、今は互いに友達としてしか見れなくなっている。それでも惰性でなんとなく一緒にいる様な、要するに二人共、別れるきっかけがないのだ。一緒に時間を共有するのは今でも楽しいけれど、言葉を尽くしてもお互い何一つ解り合えない関係―
最初のうちは説明もしたが、今では理解されないと頭から決め込む―お互いにそうやって壁を何枚築き上げてきたんだろう・・ドミノ倒しが出来ない位に厚い壁を・・共通点は何よりも衝突が嫌な事だけ、表面上のはしゃいだ部分しか見せ合わない。
紅葉と出逢って本当に本心を打ち明けられる相手が出来たと思った。そして制約のある生活の中でただ紅葉との時間だけが僕は僕の脈打つ鼓動を感じていた。
「何それ?馬鹿じゃない?逢ってもいない相手でしょ?触れることすら出来ないじゃない。」
別れを言い出した時、冷ややかな目で蔑む様に僕を見るハヅキにごめんとだけ呟くと無言のまま立ち去った。
たぶん君に何を言っても結局の処、通じないんじゃないかって・・・
どんどんと病状が悪化し強い薬に代えてみても効かなくなっていく中、僕は勇気を出して紅葉に一度だけ逢いたいとメールする。
― 桜也さんへ 3/30午後8時、桜が燃えるその下で待っています。紅葉 2007/3/15 ―
紅葉に逢える!そう思うだけでどんな辛いことも耐えられる様な気がした。でもこの日付・・一年前の日付?紅葉、パソコンの日付設定間違えてるな〜
案外、僕と同じかも・・その日一日中、僕は幸せ過ぎて頬が緩むのを抑えきれない。
紅葉の指定した場所につくと大きな桜の下に古ぼけたベンチがあった。少し肌寒いがその日は星が瞬き、闇夜に浮かび上がる満開の桜はその香りと共に僕を空へと誘う―ふと足元を見ると無数に散らばる花弁もまるで天の川の様で、一瞬僕は、宇宙にぽつんと一人立っている様な感覚に捉われた。
「・・・くっ!!!!」
突然、強い発作が俺を襲い地面に倒れこんだ ― 息が・・出来・・な・・い・・
目の前が霞み視界がどんどん暗くなっていく、朦朧とする意識の中で、やたらと聴覚だけがはっきりとする。。コツコツ・・コツコツ・・
頬に柔らかい温もりが伝わってきて、もう見る事の出来ない眼の前の代わりに瞼の裏側の世界が眩しく輝いて・・君を全身に感じた。
紅葉・・やっと君に逢えた・・君だけが・・君が僕の全てなんだと
Fin







